老人ホームと介護施設の違いは?

公開日:2024/08/08  

違い

老人ホームと介護施設の違いを明確に理解している方は多くありません。老人ホームとは一般的に有料老人ホームを指しており、介護施設とは介護を受けられる施設の総称のことです。

しかしじつは高齢者向け住まいには、さまざまな種類が存在しています。そこで今回は、それぞれの介護施設の違いについてくわしく解説していきます。

主な介護施設の種類

一口に介護施設といっても、さまざまな種類が存在しています。主な介護施設について簡単に紹介します。

特別養護老人ホーム

特別養護老人ホームとは、終身まで利用することのできる介護を行う施設のことです。入居対象者は原則「要介護3」以上と定められています

常に介護が必要であり、在宅介護が困難とみなされた方が入居することができます。自治体にもよりますが、住民登録者を優先して申し込みを受け付けていることがほとんどです。

特別養護老人ホームは、地域公共団体や社会福祉法人などが設置しています。

介護老人保健施設

介護老人保健施設とは、退院後にリハビリを行い、在宅復帰を目指す施設です。「要介護1」以上を対象としており、原則3か月間入所することができます

退院したものの、そのまま家に戻るのが難しい高齢者を受け入れています。地方公共団体や医療法人などが設置しています。

介護療養型医療施設

介護療養型医療施設とは、医療ケアを目的とした施設です。「要介護1」以上を受け入れており、急性期の治療を終えたものの在宅での介護が難しい高齢者を対象としています

地方公共団体や医療法人などが主体となって設置していますが、2024年に廃止予定とされています。

介護医療院

介護医療院とは、介護療養型医療施設に代わって長期療養が必要な高齢者を受け入れています。「要介護1」以上を対象としています

介護療養型医療施設と同様に、地方公共団体や医療法人などが設置しています。

グループホーム

グループホームとは、認知症の高齢者を対象とした共同住宅を指します。「要支援2」以上で認知症の診断を受けた高齢者を受け入れています

入居できるのは、住民票のある地域に設置された施設のみとなっています。おもに民間企業が設置しています。

介護型有料老人ホーム

介護型有料老人ホームとは、介護サービス付きの民間施設のことです。「要支援1」以上を対象としており、対象基準はそれぞれの施設によって異なります

申し込みの際の地域条件などはとくに設けられておらず、民間企業がおもに設置しています。

住宅型有料老人ホーム

住宅型有料老人ホームとは、食事・家事支援などを行う高齢者向け住宅のことです。「要支援1」以上であり、自立した生活が可能な高齢者を対象としています

民間企業が設置しており、申し込みの際の地域条件などはとくにありません。施設によっては介護スタッフが常駐しているところもありますが、個別に介護サービスと契約していることもあります。

サービス付き高齢者向け住宅

サービス付き高齢者向け住宅とは、高齢者を対象とした賃貸住宅のことです。基本的には元気で支援を必要としていない高齢者向けですが、中には要支援・要介護者を受け入れている施設もあります

福祉と生活相談サービスなどを提供しており、個別に介護サービスと契約している施設もあります。

介護施設には「公的施設」と「民間施設」の2種類がある

介護施設には、大きく分けて「公的施設」と「民間施設」の2種類があります。それぞれの違いは、設置主体にあります

設置主体とは、施設を開設した団体を指します。運営と似ていますが、あくまでも施設を設置したのはどこかという違いです。

自治体や社会福祉法人などが主体となって設置した施設は、公的施設と呼ばれます。一方で、民間企業が設置した施設は、民間施設となります。

介護保険3施設とは?

「介護老人福祉施設」と「介護老人福祉施設」「介護療養型医療施設」の3つをまとめて「介護保険3施設」と呼びます。介護保険3施設は、介護保険サービスを利用することができます。ただし、原則として要介護認定を受けた方が対象となります。

これらの施設は入所の際に一時金が必要ありません。初期費用がかからないだけではなく、民間施設よりも割安なので、全体的な費用を抑えられます。しかし、食費などの自己負担分はかかるので注意しましょう。

なお、所得が低いなどの一定の条件を満たす場合には、負担軽減制度を利用することができます。

特別養護老人ホームと介護老人保健施設の違い

老人ホームについて調べていると「特養」「老健」といったワードを目にする機会が多いのではないでしょうか。本項目では、特養と老健についてくわしく解説していきます。

特別養護老人ホーム(特養)

特養は、特別養護老人ホームの略称です。原則として要介護3以上を対象としており、必要性の高い人から優先的に入居することができます

なお、入居の基準としては、ポイント制を採用しています。要介護度や在宅介護が困難な理由によって加算され、ポイントの高い人から優先順位をつけられます。

ちなみに要介護3は「寝返りが自力でできない」「排泄から入浴まで日常生活に介助が必要」などの状況にある方が該当します。看取りの対応については施設によって異なりますが、基本的には終身利用可能です。

介護老人保健施設(老健)

老健は、介護老人保健施設の略称です。一言で説明すると「家と病院の中間地点」といえるでしょう。

病院を退院した後にリハビリなどを行い、家に戻ることを目的とした施設です。在宅復帰が目的なので、入居期間は3か月が目安となります。中には、半年以上入居している方も存在します。

病状が安定しており、入院治療の必要性がない高齢者を対象としています。退院後の介護施設なので、病院に併設されていたり、医療法人が運営していたりすることがほとんどです。

入居期間が限定されているので、特別養護老人ホームよりは入居しやすいといわれていますが、一定期間で退所が求められるので注意しましょう

有料老人ホームとは?

一般的にテレビCMやチラシなどで目にする老人ホームは、「有料老人ホーム」に該当します。有料老人ホームは、民間企業が運営していることが多く、各施設によって特徴が異なります。

有料老人ホームは、シニア世代にとって終の棲家となりうることから、さまざまな希望を持つ方も多いことでしょう。たとえば「建物がキレイで設備が整っているところがいい」「食事にこだわりたい」「アクティビティに力を入れているところがいい」など、人によって希望は異なります。

有料老人ホームは、ほかの施設との差別化を図るために、多彩な工夫に取り組んでいます。数種類の献立の中から自由に選べたり、フレンチや和食のシェフが在籍していたり、薬膳料理を用意していたり、施設によって特色が異なります。多彩なタイプがあるので、入居者の希望にあわせて選ぶとよいでしょう。

なお、有料老人ホームは特別養護老人ホームよりも数が多く、入居の際にポイント制などの制限はありません。比較的早く入居することができます。ただし、入居一時金が必要となるケースもあるため、あわせて確認してみましょう。

まとめ

今回は、老人ホームと介護施設の違いについて、くわしく解説しました。老人ホームとは、一般的に民間企業が運営する有料老人ホームを指します。一方、介護施設は、介護サービスを受けられる施設の総称です。

介護施設には今回紹介した施設以外にもさまざまなタイプがありますが、大きく分けると「公的施設」と「民間施設」の2種類があります。それぞれの違いは、施設を設置した団体にあります。

公的施設は地方公共団体や医療法人などが運営しているのに対し、民間施設は民間企業が運営しています。入居の条件や費用などに違いがあるので、その点を踏まえて入居を検討するとよいでしょう。

本記事が参考になれば幸いです。

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